
税理士の長村です。
最近テレビを見ているとよく「ふるさと納税」の特集がやっていますね。
なんか総務省がふるさと納税に対する返戻率を3割までにしろとか、家電はあかんとか、それに各自治体がどのように対処するのかといった内容の番組でした。
今年の確定申告でも「ふるさと納税」やっているクライアントは多かったですね。
けど、僕は個人的に「ふるさと納税」という制度自体、大嫌いです。
そもそも制度の趣旨というんですかね?
ふるさと納税をすることによって翌年度の住民税を減額してくれると。
さらには返戻品が送られてくるので、寄付金控除、住民税の税額控除の限度額を超過しないのであれば、
実質的なロスは2,000円なので、返戻品の価値>2,000円なのであればお得だ的な。
災害のあった自治体に対して寄付金をしたことで、所得税、住民税が減額されるというのは
非常にすばらしいことだと思いますし、自分の故郷にふるさと納税するっていうのも素敵なことだと思います。
ただ、牛肉とか焼酎とか米とか......。何か違うくないですか?
それなら、災害のあった自治体に寄付したら寄付金控除の計算で2,000円を引く必要もないですし、控除の上限も設ける必要もないと思います。それに税率を乗じる前の所得控除ではなくて、所得税から税額控除させろよと心底思います。
そりゃ、僕も縁もゆかりもない品川区にメッチャ住民税を支払いましたし、
東京に来たらきたで豊洲とかがあのザマでしょ笑
僕の支払った税金が大事に使われているという気はサラサラないのですが、
単にお得だというだけで安易にふるさと納税を煽るテレビその他雑誌に辟易しています。
地方のPRと所得移転が目的っていうことなんですが、特産品のある自治体と何もない自治体の格差が大きいですし、
地方の自治体も返戻品を地元の企業から購入するのでしょうが、この辺は利権の臭いがプンプンしますね笑
多少なりとも地方の企業が潤って、ひいては納税を通じて自治体も潤うというのもアリなんでしょうが、
地元に恩恵の薄い家電なんかは、そもそも論外ですよね。逆に地元で使える商品券の方がマシだしフェアだと思います。
ただ、商品券だと換金や家電も電気屋さんで購入できるとか懸念されるんでしょうが、もうそうなったら各納税者のモラルの問題だと思います。
都市部から地方へのお金の移転を図るというのはすばらしいとは思うのですが、
ふるさと納税に積極的なクライアントを見ると、もっと他にやらなあかんことあるんとちゃうかなと思うこともしばしばです。
単に得だからで動いてしまう人が大多数なんでしょうが、そういう人はどこまでいってもそういう人です。
もっと本来の趣旨やその自治体のふるさと納税の使途なんかについても目を向けて欲しいと思います。
できれば、ふるさと納税をきっかけに旅行にでかけたり、ネットで直接その商品を購入したりして欲しいと思います。
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余談ですが、皆さんが住んでいる自治体に支払う住民税は子供や難病に苦しむ方々の医療費の助成にも充てられています。
また、保育園や地域病院なんかにも補助金が出ていますね。
自分が住んでいる自治体の住民税が減るっていうことは、こういった地域サービスの財源に余裕がなくなってしまい、ひいてはこういった制度を維持することができなくなる恐れがあります。
特に都市部などの大都市圏は財源にも余裕がありますから、こういった地域サービスも何気に充実しています。
そういった地域サービスというものは普段あまり実感がないと思うのですが、本当に困っている人にとってはかけがえのないものだと知って欲しいと思います。
なので、将来こういった地域サービスを僕が受けるのかどうかはわかりませんが、地域の困っている人達に自分の支払った住民税が多少なりとも役立っているのであれば、うれしいなと思います。